「アジアでMBA」書籍出版の舞台裏

本日は、「アジアでMBA」の書籍を執筆された梶並千春さんへのインタビューです。梶並さんは香港中文大学(CUHK)MBAを卒業され、卒業後も精力的にアジアMBAの魅力について発信されてこられた方です。

その集大成となるのが、日本初のアジアMBA書籍『アジアでMBA』。本日はその書籍の舞台裏について梶並さんに聞いてきました。では、どうぞ。

なぜ『アジアでMBA』本を出版したのか?

『アジアでMBA』の本を出版して、しばしば「どうやって本出版したの?」と聞かれることがあります。今回は本を出版するまでの舞台裏をご紹介したいと思っています。

一番の理由は、自分自身が受験した2010年当時アジアMBAに関する情報は非常に限られており、情報収集にとても苦労した経験より、自分がMBAに進学した暁には、情報発信を行おうと決めました。そして入学後始めたのがブログ「梶並千春の中国MBA」です。その後、『アジアでMBA』の本を出そうと決めたのは、アジアMBAに留学している日本人留学生との出会い、ネットワークの強さ、そして「アジアMBAに行って良かった!」と共通する思いの強さからでした。

私は香港中文大学MBAに進学したのですが、香港には他に香港大学、香港科学技術大学というMBAランキング上位に入る3校があります。その当時3校のフルタイムの日本人留学生は合計で9名、香港はエリアも大きくないため、3校合同に集まるかいを頻繁に開催し、情報交換を行っていました。

その後、MBA2年目に私は北京大学に交換留学に行きました。北京に移ってから、CMMA(中国MBAマネジメント協会)に所属し、北京大学、清華大学、長江商学院などに在籍している日本人同期と知り合い、交流が続きました。2年間香港・北京で過ごすうちに、卒業時には学校の枠を超えた、日本人のアジアMBAネットワークのつながりができていました。この仲間に共通する思いが「アジアMBAに行って良かった!」という思いでした。

私自身も2年間の留学を経て、日本に戻ってくるタイミングに「あの時会社を辞めて海外に飛び出して、MBAに行こうと決めて本当に良かった」「中でもアジアMBAを選択したのは間違いではなかった」という思いを強く感じました。何でしょう、不思議と欧米系のMBAに行った人より、アジアMBAに行った仲間のほうが満足感が高い、行って良かったという思いが強いように感じるのですが、それは行く前の期待・不安と帰ってくる時の満足感・達成感のギャップが良い意味で大きいからなのでは、と私は考えています。

このような経緯を経て、私たちアジアMBA卒業生の経験、そしてアジアMBAに関する情報を1つにまとめられないだろうかと考え、本の出版に向けて動き出しました。

どうやって本を出版したのか?

「本を出そう!」と決めたものの、さてどうしたものか。まずはリサーチ、そして本の企画骨子をまとめることに着手しました。

・周りの出版経験者、出版社とのネットワークを持っている方々へのヒアリング
・MBA関連書籍、ビジネス書を出版している出版社のリサーチ
・『アジアでMBA』本の企画書作成
仕事の傍ら、プライベートの時間でこの3つを並行して進めていきました。

『アジアでMBA』本を出版させて頂くことになった英治出版さんとの出会いは、私がその当時読んでいた「世界の経営学者はいま何を考えているのか――知られざるビジネスの知のフロンティア」という一冊の本でした。MBAからの帰国直後ということもあり、経営学を身近に感じさせてくれる、新しい視点のMBA本だと感じました。こんな本を出す出版社さんはどんなところだろう、編集担当の方はどんな方だろう、是非お話がしてみたい。そう感じて、入山先生の本の後ろにお名前が書かれていた英治出版 編集長の高野さん宛にお手紙と『アジアでMBA』本の企画書を郵送でお送りさせて頂いたのがきっかけでした。

その後、企画書にはマーケット分析やプロモーション戦略を盛り込み、本の内容をまとめた構成案(目次+概要も含めた20P程度のもの)を作成し、何度もすり合せを重ね、「アジアでMBA本を出そう」と心に決めた日から約1年の歳月を経て、正式に英治出版さんより出版のゴーサインを頂きました。

念願の執筆活動開始!

『アジアでMBA』本を出版するにあたり、この本は私一個人の経験談を伝えるものではなく、アジアMBA各校の留学生、そして学校自体も巻き込み、これを読めばアジアMBAがわかるといような日本で初めての「アジアMBAオフィシャル本」を作ろうと決めました。

よって内容は、
第1部:アジアMBAとは
第2部:留学体験記(主要14校、卒業生21名による寄稿)
第3部:学校情報(主要14校MBAオフィスから提供された公式日本語情報)
としました。

執筆活動と言っても、この本の場合は第1部を除いて、全て周りの皆さんにご協力頂いて作る内容。第2部は総勢21名の卒業生の皆さんへの執筆をお願い、第3部は卒業生を通じて各学校に情報提供依頼という形をとりました。ただ注意した点としては、各学校比較検討がしやすいよう、留学生体験記、学校情報についてはフリーフォマットでお願いするのではなく、フォーマットを事前にこちら側で用意し、それに沿った形で作成をお願いしました。このような手順を踏んだことで、学校によって欠けている情報がない、スケジュール、留学費用の内訳など表でないとわかりにくいものなどを、統一フォーマットにすることで情報の網羅性を担保し、比較検討がしやすいようにしました。

総勢21名による共著といっても、この取りまとめを行うのは至難の業です。そこで協力をお願いしたのがチャイナMBAマネジメント協会(CMMA、理事長:大内昭典)です。代表を務められている大内さんを中心に、中国大陸・シンガポール・インド・韓国の各校を広くつないで頂き、原稿の取りまとめなどもお願いしました。大内さん、そしてCMMAの協力なしでは、この本はできなかったと思います。

私はと言うと、第1部で紹介するアジアMBAについての総論(目次タイトル「熱いぞアジアMBA」)の原稿執筆を行いました。ページ数にすると約50P、本全体の1/4程度なのですが、人生初の本執筆。人に伝える文章を書くというのが、これほども難しいのかというのを痛感しました。

出版ゴーサインが出てから、約8ヶ月間。仕事をしながらの作業だったので、原稿執筆、出版社の方、各卒業生とのメールのやり取りなどを、週末そして帰宅後深夜自宅で行う日々が続きました。正直、大変でした。出版時期をあらかじめ、2014年7月「アジアMBA夏祭り(運営:アゴス・ジャパン)」という、アジアMBA各校とアジアMBA志願者が一同に会するイベントにあわせて発表しようと決めていたため、限られた期間の中で日に日に切羽詰まってきて、年末年始も返上でずっとPCに向かい原稿を書いていました。

しかし、どんどん卒業生の原稿が集まってくると、総勢20名以上の“アジアMBA共同のプロジェクト”との形が見えてきた気がして、とても嬉しかったです。

2014年7月、『アジアでMBA』本は出版されました。出版日には英治出版の営業の方と一緒に、都内大型書店を一緒に回りました。書店のビジネス書担当の方にご挨拶をし、ビジネスコーナーに手書きのポップを立てて平積みに置いて頂きました。その後も一人、『アジアでMBA』本を見に、何軒も本屋さんをハシゴしてしまいました(笑)

最後に

この本はアジアMBA各校の21名の卒業生の皆さんとの共著です。

一人一人、日本に限らずアジア各地で、様々な企業の重要なポジションを任され、昼夜と問わず多忙な毎日を送っている方々に、原稿執筆だけでなく各MBAオフィスのやり取りもすべて、ボランティアとして携わって頂きました。そのため、この本の著作権料(印税)の全ては今後の「アジアMBA」普及の活動、未来のアジアMBA生のサポートのための資金としています。アジアMBA生のネットワークとパワーなしには、このプロジェクトはできませんでした。

本を出版して3年が経ちました。本出版後、アジアMBAに合格しましたという方から『アジアでMBA』本を読んで、MBA留学を決めましたというお声を何度も頂きました。日本経済新聞さんでは「アジアでMBA(上) シンガポール、学びのハブに」「アジアでMBA(下)中国を知る香港の強み 商習慣、授業で実体験」が掲載されました。ある日、会社からの帰宅途中電車の中で、ふとAmazonの本カスタマーレビューを開きました。そこに書かれていた、新しいレビューに目がとまりました。

この本にせめてあと3年は早く出会いたかった。それにしても、様々なMBA修了生の体験談からアジアMBAへの熱意や苦闘、学びや出会いや経験への満足が臨場感をもって伝わってきて、読んでいてわくわくさせられる本でした。(中略)とりあえず、しばらく迷っていた上海への短期語学研修に行こうと決めました!この本に携わった皆さんにお礼を言いたいです。

涙が出るほど、嬉しかったです。本を出版して良かった、心からそう思いました。

私が卒業した2012年から、この5年間でアジアMBAへの日本人留学生の数は3倍強と大幅に増えました。これからもますますアジアMBAに進学する仲間が増え、この『アジアでMBA』本がその一助になっているならば、これほど嬉しいことはありません。

 

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ABOUTこの記事をかいた人

Asia de MBA編集長。シンガポール国立大学MBA intake2016 公認会計士。大学卒業後、監査法人に入所。会計監査・コンサルティング業務に従事するも、会計スキルだけでは事業は創れないと思い、マーケティング・リサーチ会社に転職。東南アジア各国で消費者リサーチ業務に従事する傍ら、ジャカルタで東南アジアを統括する業務拠点の構築に主要メンバーとして参画。