ポテト洗濯機を作った新興国メーカーに学ぶバリューの本質

NUS MBAの授業の中でも一二を争う人気授業があります。その名は”Asian Business Environment”

ハーバードでPhDを取得したバングラデシュ人の教授のもと、アジアビジネスをマクロ・ミクロ的視点から考察し、最後にアジア諸国のトピックを個別にカバーするというこの授業。あまりのクオリティーに一度単位を取得したものの再度聴講するという強者まで現れるほどの人気ぶり。

教授は日本人の女性と結婚していて大の知日派であるため、日本人学生にとっては最も馴染みやすいというのもあるかもしれませんが、ここまでアジア諸国の知見を持っている人に今まで出会ったことがありませんでした。

さて、本日は直近に受けた授業がとても感動したので、その感動を読者の皆様に共有します。

What is Value?

日頃からバリューバリューと我々は言いますが、その意味とは何でしょう?当教授の回答は明確です。

バリューとは顧客のベネフィットのことであり、突き詰めると顧客の課題を解決できるかどうかである。

本質を突いていてとても納得感がありますね!

例を挙げます。ある洗濯機メーカーのカスタマーサポートに一件の苦情が入りました。

苦情客
オメー洗濯したら白くなるどころか洗濯物が黒くなってしもたやないかい。どないくれるんや!

よくよく話しを聞いてみると、彼は洗濯物と一緒にじゃがいもを洗ってしまったことが判明します。

さて、ここで一般的な日本企業ならどう考えるでしょう?多分顧客のミスだとして笑い話にするか無視するでしょう。あるいは、もっと汚れが落ちるように洗濯機自体の機能を強化する方向にいくのではと思います。

がしかし、中国の家電メーカーHaierは一歩先を行く思考をします。 What is the customers’ problem?

ハイアールは、衣服とポテトの両方を洗える洗濯機を創ってしまいました(笑) 顧客のふとした失敗から、顧客の課題に寄り添う商品が開発できた訳です。一般的な日本企業なら、誰もポテトを洗える洗濯機を創ろうという発想にならないと思います。

ハイアールはその他にも、アメリカ市場にて学生向けに小型冷蔵庫を売り出すことで成功しています。

インドネシアのSevenは飲食業?

誰もがご存知のセブンイレブン。元々はアメリカで誕生したコンビニエンスストアですが、日本にも進出し、いつしか日本のセブンが世界のコンビニ業界の最先端になってしまいました。

インドネシアのセブンイレブンはアメリカではなく日本のセブン&アイグループがフランチャイザーとなっていますが、インドネシアでは大人気を博しているのです。

その理由は何か?それは、セブンイレブンが単なるコンビニエンスストアではなく、広いスペースを備えたコミュニティー空間になっているからです。

コンビニが出来る前、彼らは主にワルンというローカル食堂で飲食をしていましたが、それは熱い中で快適とは言い難いものでした。そこにコンビニ業が進出。カフェスペースにはWifiが飛んでおり、若者が何時間も居座っている光景に遭遇します。また、日本と同じように様々なバラエティーの食事やドリンクを注文することができます。

要するにここはもうコンビニというよりもカフェやコミュニティースペースに近いのです。こうしてインドネシアのセブンイレブンは、ProductだけでなくBusiness Systemをも変革してきました。

ちなみに、インドネシアでは他にも沢山のコンビニがあり(Indomaret等)、なかなか新規参入者のライセンスを取ることが難しかったため、あえて店内面積を広げて飲食店としてライセンスを発行してもらっているとのこと。これもまた面白い。

このように顧客にとっての課題を突き詰めて考え、その課題を解決するようにソリューションを組み立てれば、新興国の消費者にも響くような商品が創れるのです。

毎日ビジネスプランを考えている自分としては、ビジネスは顧客の課題を解決するものでなければならないというシンプルな法則を叩き込まれたのが本当に良かったです。

リバース・イノベーションの本質はValue

このように新興国では、新興国ならではの問題を解決するようなプロダクトやサービスが続々と生まれ、その一部は先進国でも販売されて成功しているものもあります。

例えば、リバース・イノベーションで有名なGEはインドや中国市場向けに超低価格の超音波診断装置を開発し、やがてそれらは100ヶ国以上でも販売されるようになりました。

ここでの本質は以下に顧客のバリューを追求したかということであり、GEのケースで言えば廉価だったのですが、必ずしも価格だけではなく、他の機能的な要素もバリューになり得ます。

問題は如何にして顧客の課題を解決するかという本質的な問いであり、日本企業が今後もアジア市場で積極的に取り組んでいくべき分野だと感じています。

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ABOUTこの記事をかいた人

Asia de MBA編集長。シンガポール国立大学MBA intake2016 公認会計士。大学卒業後、監査法人に入所。会計監査・コンサルティング業務に従事するも、会計スキルだけでは事業は創れないと思い、マーケティング・リサーチ会社に転職。東南アジア各国で消費者リサーチ業務に従事する傍ら、ジャカルタで東南アジアを統括する業務拠点の構築に主要メンバーとして参画。